第一章 目覚めた恐怖

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「柔道部、思ったより楽しくて良かったね」 「僕、もっと厳しくて怖い部だと思ってたよ」  入部して一週間が過ぎ、瑞樹は同じ新入生とそんな言葉を交わしていた。  先輩は親切で優しく、基礎の体力作りも無理のない程度で終わる。  部活最後の掃除を終え、道着から制服へ着替えようとロッカールームへ移動を始めた時、2年生が声を上げた。 「今から1年生の歓迎稽古を始める! 集まれ!」  何だろう。 「もう、6時なのにね」 「でも、歓迎って言うんだから、すぐに終わるんじゃないかな?」  ざわめきながら、1年生が挌技場の中心に集まると、2年生が突然一番近くに居た1年生を平手でぶった。 「行動が遅い!」  しん、と静まる場内。 (何、これ。先輩の空気が、今までと全然違う!)  瑞樹の心臓は、ばくばくと激しく打っていた。
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