第一章 目覚めた恐怖

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「よ~し、これで新歓稽古を終了する」 「早く帰れよ」 「動けたら、の話だけどな」  1年生たちは皆、仰向けに転がって苦し気に息を吐いている。  帰りたくても、帰れない。  動きたくても、動けないのだ。  下半身を傷めつけられ、立って歩くこともままならないのだ。  瑞樹も皆に混じって転がっていたが、そこを2年生に無理やり立たされた。 「白川、お前は休憩室へ行け。3年生の先輩が、待ってる」 「3年生が?」  今度は3年生から新歓稽古をつけられるのだろうか。  しかし、僕だけ、という点が気にかかる。 (一度、脱落しかけたからかな)  どうか、酷い目に遭いませんように。  しかし瑞樹の祈りは、天に届かなかった。
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