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貧乏来たれば、◯◯来たる
「金がねーーーーっ!!」
僕、貴島健は財布の中のお金の無さに叫んだ。
(これは困った……)
いつも買うぐらいの昼飯代もない。というか起きた時から不思議なことがいっぱいだ。
まず僕はくしゃみをして目が覚めた。そして寝ていた場所は玄関だった。
僕は昨日の夜から思い出せない。
(いったい何をしたっけ?)
考えても考えても思い出せないから、とりあえずコンビニに向かった。
「うーん」
僕は伸びをしながら歩く。空は晴れて心地よい。晴天そのものだ。
家から5分も歩けばコンビニに着く。
そして気分転換にしばらく立ち読みしておにぎりを二つ買う。
それぐらいしか買えなかったのだ。
そして歩きながら、昨日のことを思い出そうとする。
(確か昨日はバイトを終えた後に、どこかに行ったな……。何処だったかな?)
やはりなかなか思い出せない。
(飲み会、いや違う。しかし飲みに行ったな……。多分、街の居酒屋だろう。いつも行く店屋ではなかったような気がする)
僕は歩きながら少しずつでも思い出し始めた。
(後はお金の無さだな。昨日いくら使ったんだ)
財布の中身を確認したらレシートが入っており、見たら昨日の昼飯代のみだった。
(駄目だ。これは無意味なレシートだ)
僕は頭を下げながら、とぼとぼと歩く。
そしてマンションに着き、階段を上がり、二階にある僕が住んでいる部屋に着いた。
鍵を開け玄関に入ると、僕の知らない靴が二足あった。
「ん?」
両方とも女の靴だった。つまり、ハイヒールである。
(なんだ。この靴??)
さっき出て行った時はあったかどうかおぼろげで覚えていない。
しかし玄関は閉まっていたから泥棒が入った訳はない。というか、ハイヒールを履いたり、わざわざ物を増やす泥棒なんていない。
だから恐る恐る渡り廊下を渡り部屋を覗くと、敷きっぱなしの布団に人が寝ていた。
僕はびっくりした。
そして近づいて見ると髪の長い女性と思しき人が寝ていた。
(えっ!? えっ!?)
頭の中は混乱した。記憶のない上、この状態に戸惑った。
そして手前の人が目を覚ましたのか、
「うーん」
白地の布が薄い服を着て、体を伸ばしながら起き上がっていた。
「うーん、よく寝た。あら、ここは……」
僕と目が合う。
「……」
「……」
「き、きゃーー」
彼女は叫んだ。
「泥棒よ。泥棒がいるわ」
「待て待て。ここは僕の部屋だ」
「何言ってるの貴方! ここは私の……」
彼女は辺りを見渡し、
「確かに私の部屋じゃない……」
と呆然としていた。
(一体どうなっとるんだ?)
そして隣の少しがたいの良い女も目を覚ました。
「ふー、よく寝たわ」
「えっ!??」
僕達は驚いた。
叫んだ女の隣に寝ていたのは女ではなく明らかに男だった。そして明らかな厚化粧をしているから、
(お、おかまーー???)
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