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「・・・なるほど、そいつはいいですナ!それだけ居りゃー、黒番犬どももおいそれと手はだせないでしょう・・・パプラ船長、アッシがブルアンと・・・フェルトさんと、宿に残りますが、それでいいですかね?」
グリンドーはパプラ船長の方に向く直前に、ひそかにオレージナと目で合図を交わしたのだった。
「よし・・・そうしよう、明日の朝10時に出港だ!皆、遅れないように!」
パプラ船長の言葉に、皆、それぞれに返答した。
「アイ、キャプテン!」
******
機関士レッドン、パプラ船長、航海士オレージナ、船医のブラーウが走砂艇ドマーロに向かって歩いて行くのをブルアンとグリンドーはしばらく見守っていたが、やがて───グリンドーが口を開いた。
「ブルアン坊ちゃん・・・」
「え?何?グリンドーさん」
ブルアンはグリンドーの右腕に掴まるようにして彼を見上げた。
「明日から本当の航海が始まりますが・・・坊ちゃん・・・覚悟はできてますかい?」
「え?!」
ブルアンは、グリンドーのやや緊張感のある厳しい言葉を初めて聞いたような気がした。
「グリンドーさん!・・・覚悟はあるよ!大変なことがあるかもしれないけど・・・僕、勇気を出して頑張るよ!・・・でも、もう今夜みたいなドジは踏まないから・・・」
ブルアンの言葉は少し歯切れが悪かったが、グリンドーはまたニッコリと笑ってブルアンの方を向いた。
「ヨーシ!ブルアン坊ちゃんがその気なら、アッシも応援させてもらいますぜ!・・・さーて、宿に戻ったら口うるさいフェルトさんも喜ぶような、面白い航海の話をさせてもらいますぜ!・・・美味しいツマミも沢山残っているでしょうから!」
「わあっ!楽しみだなー!」
ブルアンは思わずそう言って笑顔をグリンドーに向けた。
───そして、月が照らす薄青い道を二人は宿に向かって戻って行った───
第一章 航海前 End
◇いよいよ来週から、第二章「大海原をゆく船」を、別の本でスタートさせます!
お楽しみに!
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