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「暦ちゃんママ、この何日か凄く楽しかった。
せっかく友達になれたのに、僕も心苦しい。
あ、ヤベェ、もう、行かなきゃ間に合わない。
また会えるかな?
縁があったらどこかで会おう…」
ハチ君パパはそう言うと、暦を私に返した。
暦はまたハチの所へ行こうと、クンクン泣いて手足をバタバタさせている。
「暦、ハチ君にさよなら言おう。
今日で最後だから、今まで遊んでくれてありがとうって」
最後にハチ君パパは、もう一度ハチと暦の鼻をくっつけた。
「ハチ、ごめんな…
暦ちゃんもごめん…」
そして、ハチ君パパは私の頭に優しく手を置いた。
「本当にヤバい、じゃあ、またいつか」
そう言うとハチ君パパは走り出した。
私は連絡先を聞きたいってずっと思っていた。
縁があったら会おうなんて、そんなの会えるわけがない…
暦のために、連絡先を聞かなくちゃ…
私は暦を胸に抱き、雨の中を走り出した。
連絡先を聞かなくちゃ…
公園を出て大通りまで出たけれど、ハチ君パパはもうどこにもいなかった。
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