74人が本棚に入れています
本棚に追加
これからの日曜日
そして、また、日曜日が来た。
私は暇な時間を作りたくなくて午前だけ仕事を入れた。
そうしなきゃ、きっと、暦を連れてまたあの公園に行ってしまう。
それほど私の心はハチ君パパを求めていた。もちろん、暦だって…
「三浦さん、配達をお願いしていい?」
手作りブーケがとても有名なこのお店。
シンプルな中に花の色合いとその花言葉を大切にする様々なブーケは、見た目以上に値段が安い。そのため、結婚式用のブーケは3か月前でも予約が取れないほどだった。
今日は大安で日曜日のために結婚式が多い。
私は2つのブーケを近くのホテルまで届ける事になっていた。
「はい、行ってきます」
伊藤家と植田家と書いてある。
最初のホテルで伊藤家の控室を探していると、誰かが私を呼び止めた。
「…暦ちゃんママ?」
私は幻聴だと思った。
さよならを言われたあの日以来、頭の中でその声を何度も思い返していたから。
私は慌てて振り返る。
すると、そこには正装をしたハチ君パパが立っていた。
「ハチ君パパ?」
私は驚きのあまり持っていたブーケを落としそうになった。
「も、もしかして、伊藤さんですか?」
「うん、そうだけど…」
私の頭は完全に真っ白になった。
この場所にハチ君パパがいるって事は?
最初のコメントを投稿しよう!