これからの日曜日

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「あ、あの、私、駅前のナチュールって花屋ですが、ブーケをお届けにきました。  あの、これ、ここにサイン下さい」  早くこの場所から姿を消したい… 「あ、はい、じゃ、これ」  その伝票にはちゃんと伊藤と書かれている。 「ありがとうございました」  私はハチ君パパに軽く会釈をして小走りでホテルの廊下を走った。  何となく後ろで私を呼ぶ声がしたが、聞こえないふりをして必死に走った。  早くこの空間から逃げ出したかった。  私は外へ出ると、そのまま無我夢中で次のホテルまで走った。  これでやっと分かった。  あの日あの時、ハチ君パパが私に連絡先を聞かなかった理由。  本当にもう一度私や暦に会いたいと思ったのなら、ラインの交換くらいできたはず。  彼が引っ越す理由と私達に会えない理由は、今日、あの場所で誰かと幸せな結婚をするため…  私に男運が何もないのがよく分かった。  こんな場所で彼と会うなんて…  きっと、神様が目を覚ませと言っている。  でも、でも、暦は…  涙が止まらない。  暦だってハチ君が大好きなのに…
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