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……
…………
気がつけば、真っ暗闇の中にいた。
弱った心臓の動きを監視(モニター)する機械の音、トゥィン、トゥイン、トゥインと規則的に聞こえる音の間に間に、別の音が混じる。
人工呼吸器の、作動音『シュゴー、プシュ』なんて、不気味な音は聞こえなかったが「力也さん!」と叫ぶ声は一つじゃねぇ。
五人以上はいるようだった。
切羽詰まったその声に『うるせえな』と答えようとして、声がかすれる。
どうやら、今まで口の中に突っ込まれていた機械で喉をヤったみたいだ。
最悪な気分で、げほげほと出る咳に身を任せていたら、さっきから俺を呼んでいた声が嬉しそうに叫びやがった。
「若頭の意識が戻ったぞ!」
うぉおおおおお!
うう……くそ! うるっせぇじゃねえか!
周りの声にも頭痛を覚えて悪態をつきつき、目を開けば、そこに見慣れた龍堂組の連中の顔が、いくつも見えた。
これが、俺の現実だった。
「……帰って、来たんだ」
……別に、どこへ出かけた、と言うわけじゃねぇ、けれど。
胸に熱く込み上げるままに、つぶやいてみれば、それは言葉に、ならなかったらしい。
「何が言いたいんですか?
もう一度、お願いします!」と聞き返す舎弟に別のことを聞いた。
「……なんで、お前たちがここに居る……!?」
ここの病院に通っているのは、絶対秘密にしていたはずなのに。
聞いた俺に、舎弟どもは、次々言った。
「兄貴が、組の事務所から出て行って少し経ってから、雪村、っていう医者から連絡があって!」
「藤堂さんが狙われているから、人数連れて、病院に、来いと!」
「雪村……風音……か」
「そうです! そうです!」
俺のつぶやく言葉に、取り巻きたちがうなづいた。
「……で、今その医者は……?」
聞いた俺に、舎弟の一人が、言いにくそうに口を開いた。
「……亡くなりました」
「……なんだと!?」
思わず出た低いガラガラ声に、舎弟どもが一斉に一歩下がったようだったが、そんなモノは知らん!
続きを促す俺に、舎弟の一人が、恐る恐る、俺に報告して来やがった。
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