10人が本棚に入れています
本棚に追加
エレベーターでの告白
それからの一週間、僕は寝ても覚めても彼女の事ばかり考えていた。
2回目のピアノレッスンは今日の予定だけど、果たして彼女は来るだろうか。
来ないとは思ったけど、大学の授業が終わると足は自然に
ダンススタジオに向かっていた。
ビルに着くと、エレベーターの前には何と彼女がいるではないか。
今度は僕が走り込みセーフでエレベーターに乗り込み
「こないだはごめん。いきなりあんな事して。
実は犬の散歩で初めて会った時から君の事が好きだったんだ」
「私もあれからこないだの事ばかり考えてて、何も手がつかなかったの」
とてもピアノレッスンどころでは無くなっていたので、
僕たちはそのまま下に降り、少し頭を冷やして
今後の事を話す事にした。
ビルの近くでは、和馬に見られる可能性があったので
駅とは反対の方向に無言で歩き出した。
しばらく行くと、公園があったのでベンチに腰掛け
僕は重い口を開いた。
「和馬には悪いけど僕は舞ちゃんと本気で付き合いたいと
思ってる」
「私正直言って、自分の気持ちが分からないの。
和君とはダンス仲間から付き合うようになってもう2年も経つし、
一緒にいるのが当たり前になってて。
こないだはいきなりだったから、ドキドキして
今は舞い上がってるだけなのかなって」
「じゃあ、よく考えて返事もらえるかな?」
「わかった。気持ちが決まったら連絡するね」
僕たちはラインを交換し、
彼女は、ダンススタジオに駆け足で戻って行った。
最初のコメントを投稿しよう!