和馬からの呼び出し

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和馬からの呼び出し

あれから既に2週間も経っていたが、彼女からの連絡は無く 僕は何も手がつかなかった。 大学の授業もうわの空だったが、ぼーっとしていると 彼女の事ばかり考えてしまうので無理やり勉強に打ち込んだ。 なるべく早く、司法試験に合格して父の跡を継ぎたい情熱は あったし、もうあきらめかけていたが彼女との未来も 描くようになっていた。 そんな中、突然和馬からラインがあり 「ちょっと話しあるんだけど今日時間ある?」 「夕方からなら大丈夫だけど……」 「じゃあ、19時こないだのライブハウスで待ってる」 僕はもしかして彼女との事がばれたのかと思い、 気が気ではなかったが、腹をくくりライブハウスへ向かった。 和馬はもう来ていて、遠くからでも元気が無いのが 一目で分かった。 「遅くなってごめん。話しって何?」 僕が白々しく聞くと、 「実は彼女の様子が最近変なんだけど、おまえピアノレッスンで  会ってるとき何か聞いてないか?」 僕は正直ばれてなかったとほっと胸をなでおろしたが どう答えればいいのか頭の中がぐるぐる回っていた。 「変ってどういう風に?」 「いつもダンスの練習の後飲みに行くんだけど、  ここんとこいつもダッシュで帰って、  電話しても最近忙しくてしばらく会えないって言われるし」 まさか、それは僕の告白で悩んでるせいでなんて口が裂けても 言えないし……… 「おまえ、ピアノで舞に会った時にそれとなく聞いてくれないかな?」 「えっ!!何て聞くの?」 「だから、和馬とは最近どうって?」 「わ、わかった」 それからは取り留めもない話をして和馬と別れた後、 僕は頭をかきむしり、叫んだ。 「どうすんだよ~!!」
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