親友の彼女

変身

一週間後、和馬のダンスイベントの日になった。
いつも、やれヨガだ英会話だショッピングだと出歩いている
姉が珍しく家にいたのでイベントに着て行く洋服を相談すると、
よっぽど暇だったのか
「お姉ちゃんに任せなさい！さあ、買い物行くよ！！」
と僕の一番嫌いな買い物に行くはめになってしまった。
洋服選びが面倒くさくて父の古い洋服をいつも着ていた僕だが、
いつかまた彼女に会う時のために、少しは見た目がましな男に
なろうという気持ちになって来た。

「まずはその眼鏡なんとかしよう」とコンタクトレンズに変え、
「次はそのださい髪形直すよ」と美容院でいまどきヘアーに変え、
「仕上げは洋服と靴」とおしゃれなショップであれこれコーディネート
され、店員さんもびっくりする位の仕上がり具合だった。
「我が弟ながら、なかなかのイケメン男子だわ～」
と姉も満足気だった。

家に帰ると母も腰を抜かす程びっくりして、
「どうしたの、こうちゃん！何があったの？」
「中学まで一緒だった和馬覚えてる？
　あいつダンス続けてて、今日イベントに出るから応援しに行くんだ」
と言うと、さすがプロと思わせるとびきりの花束を持たせてくれた。