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この時不意にあの言葉が思い出された
『このスナイデルオンラインは実際体験したことを元に制作したのです。』
これは今目の前にいるスナイデルオンライン制作リーダーの朧聖夜が雑誌のインタビューで答えた内容だった。
「スナイデルオンライン・・・」
俺がそう呟くと理事長が目を見開いた。
「ほう。さすがカイリの息子だな。洞察力は父親譲りか?」
「どうも・・・。」
褒められてるんだよな?でも今はそんなこと関係ない。大事なのはスナイデルオンラインとどう繋がってるかだ。
「そこは答えれる範囲ですか?」
「さっきの俺の言葉でそこまで気づくか。これは有望だなカイリ?」
「まぁそれぐらい出来ないとこれからが大変だしな。」
「少しは褒めてやれよ。まぁさっきの質問に対する答えならYesだ。と言うかこれを君達に話さないと転移先で死んじゃうしねぇー。」
すごい軽いノリで言ってるけど話の内容はヘビー過ぎないか?
転移先で死ぬ?その言葉を聞いてまたクラスが静まり返った。
「よしよし。ちゃんと話を聞く姿勢になったな。ではまず君達が遊んでるスナイデルオンラインというゲームについてだが、この中でプレイしてる人はどのくらいいる?」
そう聞かれて何人かが手を挙げる。そしてそれにつられる一人二人、そして最終的には全員が手を挙げた。
「おお。全員とは予想外だなこれは嬉しい誤算だ。ではこの中であのゲームがかなりリアルな部類になってると気づいた子もいるだろう?」
確かにあのゲームはとにかくリアルなのだ。
攻撃をすれば感触があるし、攻撃されれば多少の痛みや衝撃もある。
食べ物を食べれば味がするし満腹にもなる。
匂いもあるし音も実際にその場で聞いてる感覚だ。
よくゲームでその場にいる臨場感とかいうが、このスナイデルオンラインは本当にその場にいるのだ。
「先程も言ったが、あれは俺達が体験したことをそのままゲームにしたんだ。だから五感で感じるものは実際俺達があちらの世界で感じたものと同じということだ。」
理事長は続ける。
「ではあちらの世界とは何か?こればっかりは嘘のような話だと思う子もいるだろうが、本当のことだからちゃんと聞いてほしい。」
そう言うと理事長は前にある黒板に大きな丸を二つ書いた。
「この左側の丸が今俺達がいる地球だ。そしてこの右側にある丸・・・これも地球だ。」
この説明に教室内が少しざわめく。
かくいう俺もそのうちのひとりだ
「君達が言いたいことはわかる。まぁ宇宙の写真とかで見たと思うが、地球の隣にもう一つ地球があるなんておかしな話だと思うだろう。実際見えないしな。」
そう言うと二つの間に1本赤い線を縦に引いた
「普段はこの赤い線...俺達は次元境界線と呼んでいる。その線が境界となっていて左の地球(アース)と右の地球(スナイデル)は本来隣り合っているが決して交わることがないように出来ている。」
アースとスナイデル??この時点で俺達に理解などできるはずがなかった。
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