世界の真実

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「簡単に説明するとその厄災を俺達6人で再封印したんだ。そのお陰で(アース)も(スナイデル)も滅ぶことなく今日まで来れたんだが、この封印にはいくつかの問題があった。」 安堵の表情から問題という言葉を聞き不安な表情を浮かべる大多数の生徒と、次の説明を早く聞きたくて理事長を見つめる少数の生徒。 俺や榊そしてみちるは後者の方だった 「まず一つ目の問題が封印の弱さだ。本来魔王の力を媒体として組まれていた封印だった。即ち封印には魔族が作り上げた術式を使うべきだったのだが、その当時俺達が魔王を討伐した直後ということもあり近辺にその封印式を知ってる者がいなかった。」 そこでと理事長は続ける。 「俺たちは人間界側に伝わる最大級の封印術を施した。しかしそれでも力が弱く通常100年以上は続く厄災の封印が次いつ解かれるか予想ができなかった。」 そして次が大事なことなのだがとさらに続けた。 「数刻といえど解かれてしまった厄災の影響はここ(アース)にも影響を及ぼしてしまった。なので封印する際(スナイデル)と、(アース)両方から術式を掛けなければいけなかった。そこで(アース)側に俺達3人が、(スナイデル)側に残りの3人が、それぞれ分かれて厄災の封印を施した。一度それぞれの世界が干渉したことにより俺達3人が(アース)に戻ることは容易だった。」 ここで朧さんが理事長の横に並んだ 「今までの話が僕や理事長、そしてカイリが経験した異世界転移のザックリとした説明なんだけどここまでで質問はないかな?」 そう問われ生徒同士キョロキョロと視線を交わす。 何を聞けばいいのか?や結局なんでこの三人はここにいるのか?など聞きたいことは山ほどあったが言葉にうまくできないようだ。 仕方ない。あまり目立ちたくなかったけど話を進めるためいくつか質問するか ヒョイ 「ん、孝君か。なにか質問かな?」 「あなた達の事情はわかりました。その厄災というのもなんとなく分かったつもりです。でもまだ肝心なことを聞けていないです。」 「何かな?」 朧さんは穏やかな表情を浮かべてこちらの話を聞いてくれている。 この人ならきちんと答えてくれるか? 俺は試すようにいくつかに分けて質問することにした。まぁさっき榊が言ったことと被るけどいいや 「先程理事長は答えられないこともあると言われましたが今からする質問ははっきりと答えてほしいです。でないとここにいる生徒全員が納得出来ないので。」 「僕が答えれる範囲なら答えるよ。」 なら、と俺は右手を出し人差し指を立てた。 「まず一つめ。なぜ僕達は集団転移しなけばならないのか?」 中指を立てる 「二つめ。なぜ僕達なのか?」 これは先ほど榊も聞いていたがはっきりした答えはもらってない 「そして3つめ。なぜ外の景色が暗闇に包まれてきているのでしょうか?」 俺が3つめの質問をするとクラスの全員が窓を向く。 窓側の生徒が閉まっていたカーテンを全開にした。すると先程まで明るい街並みが見えていたのに、今は夜のように暗いのだ。カーテンをしていたが、その隙間から少し確認できた俺しか分からなかったようで急な変化にクラスは騒然としている。
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