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「君たちは偶然このクラスに集められたと思うかい?」
謎の質問。これに対してクラスメイトの殆どが意味がわからないと言った様子だった。
偶然?なら必然的に俺達はこのクラスに集められたとでも言うのか?
俺がそう考えてるとみちるがボソリと呟いた。
「特待生制度?」
みちるが言った特待生制度とは俺たちの代から導入されたこの学園の支援制度で入学後にかかる全ての費用の免除と施設の無料利用許可という特別な制度だ。
確かにこれは俺たちの代からなのでこの制度を使えば必然的にこの30人を集めることが出来る。
「その通りだ。なかなか理解が早い生徒達だね。ならその特待生制度少し奇妙な点がなかったかい?」
朧さんが次の質問を投げてきた。
奇妙な点?
「それについては俺から話そう。」
理事長が説明に入ってきた。
「その特待生制度だができたのはつい最近だ。」
受験前に貰ったパンフレットにもそんな事が書かれてたっけ
「と言うよりは君たちの代だけにしか使われていない。なぜ君たちだけなのか?どういうことかわかるか?」
「意図的に僕達を集めたということですか?」
答えたのは榊だった。
「その通りだ。実はこの集団転移計画だが君たちが生まれた年から既に始まっていたのだよ。」
ちょっとまて生まれた年だと?それって即ち16年も前から仕組まれてたってことかよ…
「それは僕達が生まれた時から集団転移する運命だったという事ですか?」
「それは違う、正しくいえば集団転移する世代が生まれたという事だ。その時点で誰がするかとかは全くわからなかった。」
ここで朧さんが説明を変わる。
「先程も言ったが僕達があちらの世界で厄災を封印した時に一瞬とはいえ(アース)と(スナイデル)の世界線は重なってしまった。その影響で本来スキルを授かることのない(アース)の人間にある特例が出てしまった。」
「ちょっと待ってくれ。」
堪らず俺は手を挙げた
「どうしたんだい?」
「スキルってのはさっき見せてくれたやつだよな?」
「そうだよ。」
「これももしゲームと同じならスキルは何らかの方法で習得するものだよな?」
「その通りだ。孝君の言う通りスキルとは鍛錬や知識を得ることで取得できるものだ。ただしこれを(スナイデル)では後天性スキルという。」
「後天性スキル?」
「ああ、簡単に言うと産まれてから誰もが取得できる可能性があるスキルのことさ。これに対して(スナイデル)で産まれた人たちはみんな先天性スキルと呼ばれるものを持っている。」
先天性スキルかなんとなく話が読めてきたぞ
「これは一人一つは必ずあるもので同じスキルを持ってる人もいればユニークスキルと呼ばれるその人しか持っていない非常に強力なものまで存在する。」
朧さんの横にいた理事長が手のひらに火の玉を出した。
「俺が出したのは(火球)と呼ばれるスキルだ。これは誰でも取ることができる後天性スキルだが俺の持つ先天性スキルを掛け合わせるとこうなる。」
次の瞬間火の玉だったものは一瞬のうちに形を変え一話の小さな鳥に姿を変えた。
「ピェェェェ!!」
「な、生きてる!?」
クラスの誰かがそう言った。というより言葉は出ないがみんな同じ気持ちだろう。
「俺の先天性スキルは【魔法生成】と呼ばれるもので既存する魔法ならどんな形にでも自由に成形できる。それがたとえ生き物でも。」
そういった理事長の顔はどこか暗い
「話を戻すよ。さっきも言ったけど16年前世界線が重なった影響で出た特例というのが本来スキルを授かることのない(アース)に少人数だが先天性スキルを持って生まれた子達がいた。察してるとは思うけどそれが君たちなんだ。」
なんとなく想像できたしかしまだ分からない
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