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「僕達が先天性スキルを持ってるのはわかりました。でもその実感が全くないのは何故ですか?」
榊の質問に朧さんが答える。
てかここまでオヤジまじ空気だな…
「それは(アース)だからだね、ここにはスキルを使うという概念がないんだよ。これから(スナイデル)に転移すれば自ずと自分がどんなスキルを持ってるのかわかるよ。」
なるほど。先天性スキルとやらについて聞いたとしてもこれ以上の答えは返ってこなさそうだな。
ならつぎは
「なんで俺達にその先天性スキルがあるってわかったんですか?特待生制度を使って集めたとしたら前もってあなた達には誰がスキル保持者が分かってたはずだ。本人すら知らなかったことをどうして知り得たのでしょうか?」
正直一番の謎がここだ。集められた理由からして理事長たちは何らかの方法で調べているはずだ。
しかし俺はみちる以外のやつにあったのはこの学園が初めてで接点が全くない。なのに何故?
「確かに君たちには接点はない。しかしあるだろ?君たちに共通するものがただ一つ。」
共通することだと?
一体なんだ・・・接点はないが共通点がある。
生まれた年?
生まれた土地?
家庭環境?
いろんな可能性が頭に浮かんでは消え浮かんでは消える。そのループが何度かあった時みちるがハッとした表情をした。
「もしかしてスナイデルオンライン?」
スナイデルオンライン?確かにこのクラスの全員がプレイしてるのはさっき分かったがそれの何処に・・・
そう思った時ある瞬間を思い出した。
「まさか、プレイヤーの初期設定時の【オールスキャンシステム】か!?」
【オールスキャンシステム】とはこのスナイデルオンライン特有のシステムで初めのプレイヤー初期設定時に自分と瓜二つのアバターを作るため全ての体格をスキャンされるのだ。
そこで出来たアバターをデフォルメとして体格をいじったり頭髪などの外見をいじれる。
そのオールスキャン中にプレイヤーとして参加した俺達に先天性スキルがあるかないかを確かめたのか。
「本当に察しが早くて説明が助かるよ。その通りすべて正解さ。あの【オールスキャンシステム】は(スナイデル)のあるスキルを特殊な技術を使ってこちらで使用できるようにしたのさ。だから君たちにスキルがあるのを僕達が知っていたわけだよ。」
「まぁあとはさっき説明した通り先天性スキルを持つ30人を特待生としてこのクラスに集めこの日を待ったというわけさ。」
理事長が説明の最後を締めた。
しかし腑に落ちない部分もある
「理事長達は僕達がこのクラスに集められたのは必然と言われましたよね?」
「その通りだよ?」
俺は理事長の目を見つめ問いかける
「あくまで特待生制度ってことは断る事も出来たはずではないですか?」
「ああ、その事か。残念だけどそれは無いよてかさせなかったね。この世界の命運がかかってるんだ多少強引でも君たちを集めたさ。例え大切なものを人質に取ったとしても・・・ね?」
その言葉を聞いてゾクッとした。
表情は笑顔だが目の奥が笑っていない、心臓を掴まれているような感覚に陥った
額には脂汗が流れ鳥肌が立つ。
「おい!!生徒達をビビらせてどうする!?」
慌てて朧さんが理事長を止めた。その瞬間今まで俺たちを包んでいた嫌な感じはなくなった。
クラスメイトの呼吸が荒い。全員が今の理事長の雰囲気に当てられたようだ。
例えるなら殺されるという錯覚に
「すまないつい殺気を当ててしまった。まぁそういう訳だからどうしてもこの30人を集めたかった。そして最後の質問の答えだが周りが暗くなってるのはもう集団転移が始まってるからだよ。」
その言葉を聞いて再び教室は騒然とした。
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