世界の真実

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「転移が始まってるって…僕達には拒否権が最初からなかったってことですか!?」 この発言に先程まで冷静に話していた榊が怒声をあげた。 「言ったはずだよもう時間が無いと、今日この場に集まってもらったその瞬間から君たちの異世界転移は始まっていた。いや、生まれた時からこの日が決まっていたと言うべきかな。」 「くっ」 理事長の返答に苦虫を噛むような表情の榊 ここであの生徒の声が聞こえた 「ちっ、結局はあんたらの尻拭いを俺達にさせようってことなんだろ?」 弾き飛ばされて意識を失っていた桐ヶ谷だ。 先程まで熱くなっていた様だがどうやら意識を失ったことで冷静さを取り戻しているようだ。 「ああ・・・そのとおりさ。」 ここで俺達の予想していなかった光景が起こる。 「は?」 声を出したのは誰か?それはわからない。 「本当にすまない!!」 先程まで常に堂々としていた理事長が土下座をして頭を下げていたのだ。 いや、理事長だけじゃない。隣にいた朧さんもそしてオヤジもだ。 理事長を挟むようにして三人並んで頭を下げている。 「本来なら俺達で終わらせなければいけない事だった。しかしそれはもう出来ないんだ。」 理事長の表情は先ほどのものではなかった。本当に申し訳ないという悲しい表情をしていた。 「出来ない理由は聞いてもいいですか?」 何か理由があるのか?気づけば俺はそう聞いていた 「さっきも言ったが【厄災】の封印に俺達は6人の力をすべて費やした。その反動で6人とも大半の力を失ったんだ。」 三人は頭を下げたまま説明を続ける 「さっき見せたスキルも情けない話あんな小さな鳥を作るのが俺の全力だ。こんな状態で次の【厄災】に立ち向かえるわけない・・・(スナイデル)そして(アース)を救えるのは先天性スキルを持つこの30人しかもういないんだ!」 「勝手なこととは承知している。でもどうか君たちの力を貸してほしい。この世界を、君たちの大事な全てを守って欲しい・・・」 理事長、そして朧さんが必死にお願いしてくる。その目には涙が流れていた。 「今【厄災】の封印が解ければ何もかもが無になってしまう。それを阻止できるのも未来を作れるのも君たちだけだ。俺達の勝手に少し付き合ってくれないか?」 オヤジも今まで見たことないくらい真剣な表情をしている。 大人3人が必死にお願いしてくるこの状況をもう悪ふざけやドッキリ等と茶化す奴はいなかった。 「分かりました。」 答えたのはやはり榊だった。 「みんなどうだろうか?この三人の話嘘だと思う人はいるかい?」 その問に誰も声をあげない。 「この世界を救えるのは僕達だけみたいだし待ってても滅ぶなら僕達が(スナイデル)を守ろうじゃないか!」 やはり榊は誰よりも勇者に近いだろう。 ほら彼が一言発するだけで 「そうだな。俺達にしか出来ないならやろうぜ!」 「そうよ。榊君の言う通りだわ。」 「どうせこのまま転移するしかないならここで腹括るか。」 等先程まで絶望していたクラスが一気にやる気を見せ出す。 だから俺はお前が苦手なんだよ榊 帝
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