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目の前にいるデルタイガーは孝を見失いキョロキョロと捕食対象を探している。
しかし気配遮断をした孝を見つけることは出来ず諦めたように振り返り立ち去ろうとしている。
「よしよし。なら次はこれだな…」
腰につけているポーチから小瓶を二つと紫色の植物の葉を取り出す。
デルタイガーに気づかれないように小声でスキル名を呟く。
「『調合』」
すると小瓶二つと植物の葉は少し発光すると一つの瓶に生まれ変わる。
調合スキルは文字通り薬等を自分で作り出すことが出来る。
スキルレベルが低いと簡単なものしか出来ないし、成功率が下がるがレベルが上がると調合できるものも増えるし成功率も上がる。
やはり成功率が低いと調合はやりにくいのだ。材料を揃えるだけでもなかなかの労力と資金を使うので孝もレベルをMAXにして今回初めてスキルを使った。
「おお、さすがレベルMAXだ。『ヒュドラの毒』の調合にあっさり成功するとは。」
『ヒュドラの毒』それはスナイデルオンライン内のモンスターでは一番の猛毒を操るヒュドラが吐き出す毒液。
触れれば毒耐性最大のプレイヤーでも毒状態になり耐性が低いと猛毒状態になり瞬時にHPを削られる。
もし耐性が無いと瞬殺されてしまうという劇薬なのだ。
そのヒュドラの毒を短剣の片方にかけ流した。
そして
「ポイズンダガー!」
デルタイガーに向かって一撃放つ。
「グ、グルァァァァ・・・」
最初は刺されたことに驚き勢い良く咆哮を上げたがすぐに瞳から生気がなくなり地面に伏した。
「おおー。これはなかなかの・・・よし、実験は成功だな。これで次のイベントはもらったな。」
孝はニコニコしながらデルタイガーの素材を回収した。
ニコニコの原因は二つ。
一つはデルタイガーの素材はいい装備が作れるから。もう一つは最初の目的である新しいスキルと戦闘スタイルが思いのほか使えると分かったからだ。
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