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「よし次は・・・」
その時だった
(ビービービー予定時刻になりましたのでアラームで報告します。)
前もって設定していたアラーム画面が孝の目の前に広がる。
「あーそうか。明日臨時登校日だっけ。」
呟きながらアラーム画面を消す。
孝の学校は基本自由登校スタイルでオンライン授業を受けている生徒がほとんどだ。
定期テストや学校行事にはきちんと登校しなければならないが、それ以外は家で自由にしていいという変わったスタイルの学校だった。
しかし臨時登校日なんてものは今まで無かった。孝の性格からして無視しようかとも思っていたが今まで臨時登校日なんてものは無かった。
これが今後の進路などに影響しても嫌なので渋々ながら行くことにした。
なので前日は少し早めにスナイデルオンラインを切り上げて明日の準備をしようと思っていたのだ。
「もう少しやりたかったがしかたないか…」
名残惜しそうにメニュー画面を開く
「明日帰ってきたら続きをするからここでログアウトしてもいいや。」
メニューのログアウト画面開くと
本当にログアウトしますか?
YES NO
との表記が出てきた。
慣れた様子でYESをクリックすると目の前の光景が瞬時に暗くなる。
「んーー。」
頭にセットしていたVR装置を外し枕元に置く。
周りを見回すと真っ暗なのに気づく。
「あれ?もうそんな時間か。」
部屋の電気をつけて時計を確認する。
2:00
「やばい。寝坊するぞこれ・・・」
登校時間は朝の8時。孝は一度寝ると6時間以上寝てしまう体質なので実質遅刻は免れない。
「まあ、あいつが来るからいけるだろう・・・」
しかし孝には強力な目覚まし時計がいる。
いわゆる他人任せという訳だが・・・
「とりあえず風呂入って寝るか。」
長時間プレイでお腹の減りは感じていたが、それよりも眠気が勝ってしまったためこの日は簡単にシャワーを浴び寝巻きに着替えてそのままベッドにダイブした。
「zzz・・・」
5分もしない内に夢の世界に旅立った孝は知るはずがない。
この日が自宅で過ごす最後の日であることを
そして明日から寝る暇がないくらい怒涛の数日間を過ごすことになることを。
まぁそれは今夢の中にいる私立砂出瑠(しりつさずる)高校のクラスメイト30人も同じである。
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