0人が本棚に入れています
本棚に追加
横たわって三十秒が経った。
···意識がある。
目を開けるとそこは、先程飛び降りたはずの屋上だった。
目の前では怪しげな好青年が、いたずらっぽい笑みをこちらへ向けている。
「大丈夫ですかぁー?」
···なぜ僕はまだ生きているのだろう。
「それはですね、なんと、私が悪魔だからなんですよ」
会話が頭に入ってこない。
そもそも彼も僕も、口を開いていない。
「これは俗に言う、脳内直接コミュニケーションです」
なんだそりゃ。
そんなのが信じられる訳がない。
それとも、ここは既に死後の世界なのだろうか。
「いいえ。残念ながらここは、貴方が忌み嫌う現実です。貴方が先程飛び降りをし、そして僕が助けました」
···ふざけるな。僕は立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!