ボクとQちゃんとミントタブレット

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「あら、服が汚れているじゃない。何していたの?」  過ごしやすい天気が続く初夏の候。  その日、ボクは学校が終わって帰ろうとしていた。すると、珍しくかずき君が話しかけてきた。話の内容はその日の放課後、校庭でドッジボールをしないかというお誘いだった。どちらかというと、ボクは一人で遊ぶ方が好きだった。それに、クラスの中でも、陽気なかずき君とは気が合うほうではない。なぜ急に誘ってきたのだろうか。せっかく誘ってくれたけど、断ろうかと思った。家に帰る旨を言おうとしたら、かずき君が再び話しかけてきた。 「オレもひろしに誘われたんだ」  話をよく聞くと、ひろし君が転校生をドッジボールに誘ったらしい。一週間前にボクたちのクラスに転校生がやってきた。彼がボクたちの学校に来てから数日経っているが、どうやらひろし君はまだ転校生がクラスの輪に馴染んでいないようにみえたらしい。そこで気に病んだひろし君が転校生をドッジボールに誘ったとのことだった。その後、メンバーが足りないからかかずき君も誘われたらしい。  転校生は休み時間はいつも一人ぼっちでいた。その日すべての授業を受け、担任の先生の長い話が終わると、彼は机の中の教科書やノートなどをランドセルに詰め込み、さっさと教室を後にしていた。そんな彼を見て、ひろし君が気遣って動いたというわけだ。
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