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二
俺はスモモ畑の畦道を歩いていると、帽子が風に吹かれて傾いたので頭に手をやり被り直そうとした。
すると、それを遠くで見ていた畑主が、「スモモを盗む気か!」と怒鳴りながら俺に駆け寄って来た。
「違うんですよ!帽子が風で傾いたんで被り直そうとしただけですよ」と俺が弁明すると、畑主は俺の傾いた帽子を見て納得するも更に怒鳴った。
「李下に冠を正さずという諺を知らんのか!誤解を招くようなことはよせ!このすっとこどっこい!」
「独り合点するお前こそがすっとこどっこいなんだ!」
俺は怒鳴り返して帽子を被り直すと、その場を怫然と立ち去った。
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