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三
俺は桃の木が立ち並ぶ川辺を歩いていると、桃の実の甘い香りに誘われて桃の実に手を伸ばした。
すると、それを川で水浴びしながら見ていた天女が、「着物と羽衣を盗む気!」と叫びながら素っ裸で俺に駆け寄って来た。
「違うんですよ!俺は桃の実を取ろうとしただけですよ!」と俺が尋常でなく興奮しながら弁明すると、天女は顔を真っ赤にして更に叫んだ。
「嘘おっしゃい!着物と羽衣を取ろうとした癖に!お陰で裸を見られてしまったわ!」
天女は恥ずかしそうに桃の木の枝に掛けておいた着物を取って身に着け、羽衣も取って全身に絡ませると、それをひらひらふわふわと靡かせながら天へ舞い上がって行った。
その光景を見上げながら、なんて美しいんだろう!天下無敵の美しさだ!と俺は桃の花言葉を用いて深く感じ入り、天女が天空に消えた後、天女のお尻の様に可愛い桃の実を見つめながら、「私はあなたの虜です。」と桃の花言葉を呟いた。
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