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学校の文化祭が終わり、少し秋らしくなってきた頃。 休み時間、私は数学のテキストを睨みつけるようにして「うーん」と唸った。 「大丈夫?」 真由美が心配そうに訊く。 「二次不等式、ホント難しい。こんなんじゃ中間テスト、ボロボロだよ…」 中間テストまであと1週間。 苦手な数学に、私はかなり苦しめられていた。 「来週は部活も休みだし、大貴に教えてもらったら?」 大ちゃんに? 私は即座にかぶりを振った。 「なんで?」 「大ちゃんだって自分の勉強があるだろうし、迷惑かけられないよ」 「そんなこと言って、今朝も教えてもらってたじゃん」 「それはそうだけど……」
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