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既に電車に乗り込んでいると思ったが、どうやら間に合わなかったようだ。 大ちゃんはホームに立っていた。 背筋をピンと伸ばし、スマホに目を落としている。 昔から姿勢がいいんだよね、大ちゃんは。 私は彼の過去の姿を思い浮かべた。 著しく変わったのは、身長と体型だろう。 小学生の頃、大ちゃんは私より背が低く、少々ぽっちゃりしていた。 ところが中学生になった頃から急に痩せ始め、背もぐんぐん伸びた。 いつの間にか私は大ちゃんに追い抜かされ、今では20センチほど差が開いている。 ホント、かっこよくなったよね。 心の中で呟いた途端、胸が脈打ち始めた。 どきどきして落ち着かなくなり、私は声をかけるのを躊躇った。 その時、ふと大ちゃんが首を動かした。
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