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「やっぱり。祐香、化学の時はだいたい下向いてるもんな。こないだもニワトリの話、絶対に聞いてないと思ってた」
言い返す余裕もなく、私は急いで前回の授業を思い返した。
「宿題ってどこ? …mol?」
「そう」
ホワイトボードに書かれた、意味不明な計算式が思い出される。
「どうしよう」口から情けない声がもれ落ちた。
「私、ニワトリが何言ってんのか、さっぱり分からなかったんだよね。大ちゃん、学校に着いたら教えて!」
腕にすがると、大ちゃんは優しげに目を細め、「いいよ」と答えた。
あ、笑った。
心が、じんわりと温かくなっていくのを感じた。
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