お金がない！

「……この冷蔵庫ですが、102.800円になります」

はぁ？意味がわからない。その数字って何？

「あのー、それってヘラクレスカブトムシでいう何匹？」

そう言うと店員は笑顔を失った。そしてどういうクレームの付け方なんだろうと訝しげな顔で

「すいませんお客様。この冷蔵庫は昆虫と交換することができかねますが」

と言っていかにも作り笑顔を作って苦笑いしている。

「じゃあ、何となら交換してくれるのかね？」

僕もこの失礼千万な店員にできるだけの紳士的対応をとって見せた。

ヘラクレスと交換出来ないならこの人は一体どこに物の価値を見出だすのだろうか？

「こちらのような紙幣との交換になります。そうですね、この一万円札が1,2,3,4…」と万札を弾いて次に千円札を弾いた。パチンパチンという音が何とも当て付けがましいが、大体そんな紙切れに価値があるように思えなかった。

ははん、さてはバラエティ番組かなにかのどっきりかぁ。そう思いカメラを探してみた。

あ、あれか。