彼女は35歳

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「父が定年になったから、田舎にある母の実家に住みたいと言い出してね。仕事があるからここへ残りたいと云ったら、このマンションを譲ってもらったの」 「凄い家に一人で?」 「うん…母には早く相手を見つけてよと煩いけどね」 部屋を通されたボクは広い間取りに立ち竦んでしまったが、未央に経緯を説明してもらうと気が抜けたのか、リビングのソファーに崩れるように座った。 「剛くん…?大丈夫?」 「ただ驚いてしまって…未央さんは大金持ちかな?と…」 「お金持ちじゃないわ。父には無金利の30年ローンで払い続けてるけどね」 隣に座った未央はペロッと小さく舌を出して肩を竦める。
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