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あたしは血を吐くように叫んだ。でも、体が動かない。
逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ!
このままじゃあたしは殺される。
大事な人に、殺される。
あたしは大粒の涙を流しながら雪也を見る。
「なんで、泣くの。雪也」
「しかたがないだろう」
「わけわかんない!」
「こうするしかないんだ」
そう言って雪也はあたしに歩み寄る。
怖い、と思うのに、ふれた雪也の手の温かみに身をゆだねようとしてしまう。
いけない。そんなの、いけないのに。
「優しくするから……」
「いや……」
首を横にゆっくり降るのが、あたしの精一杯だった。
そんな時。
暖かい何かがお腹の中に広がり。
あたしは意識を失った。
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