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裁判と形見
――真夜中。
累々たるゴミの山全部を埋め尽くして、灰色の男たちが立ち並んでいました。彼らが黙って見つめる先には、裁判官のテーブルのようなものが設えてありました。
「きみはその子に、我々のもっとも重要な秘密を漏らしたのだ。――被告、それを認めるか?」
「はい、認めます。しかしどうか裁判官殿、あのときわたくしの頭がまったくおかしくなっていたという情状もご酌量ください」
「あの子が私の話をきく聞き方は、私から何もかも吐き出させてしまうような一種独特な聞き方なのです」
「どうしてそういうことになってしまったのか、私は自分でもわかりません」
「しかし、誓って申します。これは嘘ではありません」
BLWは、後ろ手に持った小さな人形を握り締めました。
「…………」
「ナンバーBLW/553/Cにたいして、全員一致で次の判決を申し渡す」
「被告は反逆罪で有罪。被告には罰として、いっさいの時間の供与を即刻に停止する」
「お慈悲を! お慈悲を! あと1時間で良いのです。私はまだ――」
BLW/553/Cの姿は次第に薄れていき、そしてすっかり消えてしまいました。
灰色の男たちは、消滅したBLW/553/Cを残して、黙ってその場を去りました。――たった一人を除いて。
「……灰色の『時間の花』?」
CTS/742/Dと呼ばれるその新人の『灰色の男』は、BLW/553/Cが消えた跡に地面に落ちた花を拾いました。
「おおよそ存在するものとは思えないような代物だが、あいつが死に際に遺したのだな。死んだ時間が咲かせた花か。さて、どうするか――」
CTS/742/Dはぶつぶつ言いながらゴミ捨て場を立ち去ります。そうして、今度こそ灰色の男たちはみんな姿を消しました。後にはただ灰色の風ばかりが、荒涼としたゴミの山に吹いていました。
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