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玉座の間に並ぶ六個のバケツに並々入れられた水と、コップに入った飲み物。それから一列に並んで正座している、魔王の側近たち。・・・腹心とも言う。そいつらの言い分はこうだった。
※( )内→攫ってきた子の名前・性別・当時の年齢
ディブィ(ロティ・女・五歳)
「いやだからね、可愛いロティが添い寝してくれるって言うし、私もどうせなら何も知らない子を一から開発したいと言うか・・・」
「アウトだわ!ざけんな!」
しどろもどろに言い訳をするディブィの顔めがけて下からバケツの水を思い切りぶっかける。鼻から水が入ってツーンと痛くなれ!
目頭を押さえて「いたいったいたいっ」と言うディブィに「ざまあみやがれ」と思う。
「はい次!」
ゲニオ(クロトワーレ・男・五歳)
「何が問題だ。コイツは俺のもので、俺のものなんだから俺がどうしようと俺の勝手だ。コイツが俺を受け入れるよう躾ていた所だったん・・・」
「てめぇもアウトだ馬鹿野郎!」
俺俺煩いな!自分大好きっ子か!
偉そうにふんぞり返って俺は間違ってないと言い張るゲニオには従者に命じて押さえつけ口を開けさせる。そこにこの世で一番辛いと言われている“シシャ”を溶かした水をコップいっぱい注ぐ。
「辛っ辛い辛い」と喚く甘党ゲニオに「自業自得だ」と返す。
「次!」
セガロ(チャマヤ・男・五歳)
「だぁからぁ。チャマが『して』って誘惑するんだよ。応えなきゃ魔族じゃないじゃん」
「何がだバカタレ!お前もアウトだ!」
口の中にこれでもかという程蜂蜜を流し込む。「うえ〜」と嫌そうに声を出したことで喉の奥まで入ったのだろう、途中で噎せていたけど、知ったことか。因果応報だわ。
「ほら次!」
マルティナ(ウォンカ・女・四歳)
「私は悪くないです。そこに美味しそうなモノがあるんですよ?手を出さない・・・」
「アウトだアウト!」
タライに入った洗濯糊を頭からかける。ベタベタした挙句に固まってしまえ!
「次は誰だ!」
レイヴァーナ(ネオリア・女・二歳)
「僕はそんな事してないよぉ。ネオはまだ二歳だよぉ?これから僕好みに育てていくのにぃ、今から開発したら面白くないじゃぁん」
「くっ・・・ギリギリセーフか・・・?って言うわけねぇだろうが!アウトだ!」
手に取ったのはスライムで、このスライムは魔物じゃなくてなんかの薬品を混ぜて作ったアースレスの子供たち用の玩具の試作品だ。それを頭からかける。なんとも言えない手触りが気持ち悪いそれに全身包まれて「い〜や〜」と喚くレヴィに「片腹痛いわ!」と高笑いする。
「次!」
アークレス(キノ・女・一歳)
「オレはキノをあやしてただけ。一歳の子が夜泣きしないわけないでしょ。もうキノが来てから寝不足なんだからこんなくだらないことで呼び出さないでよ」
「ちっ・・・」
俺は知っていた。アークが日夜ワガママなキノに振り回されている事を。
「仕方がない。アークは不問にする」
そう言った俺に、罰を与えた魔族からブーブーと苦情が出る。
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