田中の日常〈4〉

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田中の日常〈4〉

「やめろ、吐き気がする」 「フフ、相変わらず田中は面白いな」 「フ、元気そうじゃないか。それじゃあ、まあ頑張りたまえ、社畜くん。僕は家で優雅にワインでも飲んでいるよ」 「ふん、飲めないくせに」 「ああ、一滴も飲めん」 「切るぞ。じゃあな」 「おう」 再び、静寂がこの部屋を支配した。 田中は久しぶりに交わされた人との会話に喜びを感じるとともに、今の生活がどれだけ現実離れしたものなのかを実感した。 「早く部屋から外に出なければ」 そう思うものの、身体は彼の言うことを聞かず、またしても無益で怠惰な時を過ごした。
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