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「行くって……どこにですか?」
「デート。実際やってみないとプラン考えられないだろ?」
そう言って、先輩は憎らしいほど可愛く笑った。
強引な先輩に振り回されるのは悔しいけど……結局ときめいてしまうわたしは、やっぱりばかかもしれない。
でも……それでもまぁ……いっか。
先輩の楽しそうな横顔を見ながら、じんわり温かい左手をぎゅっと握り返した。
「で、どこに行く気ですか?」
「ノープラン」
「もお!」
割れた窓からの涼しい風を背中に受けて、わたしたちは西棟の廊下を歩く。
今日も世界はきらきらと輝いている。
変わったこと、それは……――
――わたしたちだけの秘密でいいですよね? 晴海先輩。
おわり
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