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9 こうして完結する
廃村へやって来て、何とか一夜を休んで過ごすことはできた。女とは色々なことを話してから眠りについたのである。
「よし、出発するぞ」
「ええ。よろしくお願いいたします」
こうして俺たちは廃村を後にするのであった。
2時間ほどは魔物とはあまり出くわさずに済んだものの、次第に魔物の数は多くなっていき、とてもじゃないが前には進めくなってきた。
それに、巨大な蜂ののような魔物もいる。
何とか雑魚は蹴散らしたものの、蜂のような魔物はまだ残っている。
「ぐふっ! 」
その蜂のよう魔物は、俺の腹に針を突き刺したのである。
幸いにも防具のおかげで、ある程度は防げたものの、皮膚に多少の傷は負ったであろう。
その後も俺は女を背にし我武者羅に斧を振り回し、何とかその蜂のような魔物の首を切り落とすことに成功したのだった。
だが、気づけば俺は地面に倒れていたのである。
なるほど、先ほどから急激に体がだるくなったと思っていたが、蜂のような魔物が俺の腹に針を突き刺し、毒を入れられたのだろうな。
突然にして、死が近づいたようだ。
女の声がするものの、もはや何を言っているのは俺には聞こえなかったのである。
※
「こ、ここは」
俺はお花畑にいた。
かつて、このような光景を見た覚えがある。
「おお、帰って来たか」
老人がいた。
どこかで見覚えがある。そして俺は全てを思い出したのであった。
「まさか……」
「ずっと見ていたが、1000万円分の働きはしてくれたようじゃな」
そうだ。
俺は、1000万円のために老人の仕事を請け負ったのである。
「お主はまた23歳として、元の世界に戻る。新しい就職先でも苦労するだろうが、まあ頑張るのじゃぞ。それとお主が今一番気になっていることを簡潔言おう。第一王女は無事に町へ辿り着き、魔物たちの掃討作戦を実行し王国を解放していった。お主のおかげじゃ。それに特別な試練にも耐えたのだ」
「そうですか。それは良かったです」
彼女は無事だったか。良かった。
俺がそう安堵した瞬間、眩しい光に包まれた。
気がづけば、アパートの駐車場に居た。
そうだ。これから大阪へ行こうとしていたのだ。
「あっ! 」
不意に脇から女が聞こえてくる。
そこには、髪の色こそ違うがついさっきまで共に過ごした女が立っていたのである。
「ようやくお会いできました。お久しぶりですね」
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