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4 そして俺は征く
「お主は、傭兵に選ばれたのだ。お金が欲しいというお主の無意識な願いが強かったためであろう」
相変わらず老人の言うことは意味不明である。だが、ここは無理にでも理解に努めることにした。まず、俺は傭兵に選ばれてこのお花畑にやって来たか、或いは連れて来られたということだろう。
そして、老人の言う「傭兵」が具体的に何なのか。もちろん傭兵が、戦争を商売にする連中であることは知っている。だが俺は傭兵になったつもりない。老人の言う「傭兵」には特別な意味があるのかもしれないと考えた。
「傭兵ですか……」
俺はそう訊ねた。
「言葉の通りじゃ。ただ場所が異世界ってだけでな」
「ちょっと待ってください。い、異世界ってどういうことですか? 」
突然異世界と言われても驚くに決まっている。それに、言い方は悪いが頭のオカシイ人として看做されても仕方ないくらいだ。
「異世界だ。わかりやすく言えば地球ではない場所にも人は住んでおり、そこへ行って戦ってきてもらうということじゃ。報酬は1000万円。これでいいじゃろ。それに別途前金として100万円もくれてやる」
「い、1000万円! 」
1000万円。
俺は、どうやら喉から手が出るほどの額を提示されてしまった。しかも前金に100万円だ。もう違法なことさえしなければ、どんなことをしても良いか!
「判りました。やらせてください俺に。どこへでも行きます」
「そうか。感謝する。では早速異世界へ転送しよう」
そう言って、老人は手を俺に向けて両手を向ける。
すると、とても眩しい光に包まれたのであった。
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