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6 陰謀
それから小一時間ほどが経過した。
相変わらず城門は閉まったままである。俺と同じく外に締め出されたままの、傭兵や兵士たちが「開けてくれ! 」と叫び続けている。
しばらくして、黒い甲冑姿の男が現れたのであった。記憶が正しければ、あの者は病床の身である現国王の弟だったはずだ。
「我が王国の危機を商売にする愚か者たちよ! お前たちは彼の魔物ども同じだ!前たち傭兵は、富を奪いとる形で我が王国を滅ぼそうとしている! 」
と、黒い甲冑姿の男が言う。
確かに傭兵は戦争を商売にしている。だが、国を滅ぼそうなどとは心外だ。
傭兵や兵士たちは抗議した。
しかも、兵士たちに至っては傭兵とは違い王国に忠誠を誓った者たちだ。彼らの一部もこうして外に出て戦っていたので、一緒に外に締め出されているのである。
「お前たちはこの王都から永久に追放する! また王都から1キロ以内に近づくことも許さん! 直ちに立ち去るのだ。立ち去らなければ矢の雨をお前たちに降らせることになるぞ」
ここまで言われれば致し方ない。
抗議していた者たちも今の言葉で一旦は熱くなったものの、次第に静かになり、そして王都を離れるべく移動する者も出てきた。
近くの町までは、徒歩で6時間程度はかかる距離にある。それまでに何度魔物に襲われることだろうか。だがここに居ても仕方がない。俺たちも移動するとしよう。
「お前ら、とりあえず隣の町まで行くぞ。ここに居ても意味は無いからな」
こうして俺たちも移動を始めた。
数は100人程度いる。魔物に襲われても何とかなるだろう。
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