第1章 最悪の出会い

3/8
前へ
/252ページ
次へ
「なに?」 見あげる瞳に気づく 「…あ……いえ…」 顔を上げ俺を見つめるその頬は 赤らんで見開く瞳にはうっすらと 涙がにじんでいた 「じゃ…急ぐから」 ネクタイを直し背を向けた 「ほんとにすみませんでした」 階段を駆け下りる背中にかかる声をしりめに 改札口に向かった 突然の出来事に戸惑いながら改札口を出て たくさんの車が行き交うバスロータリーの 左手の道を進む 都内からでも新幹線で2時間足らずのこの街 駅前にはいくつものオフィスビルが立ち並ぶ 交通にも便利なこの駅を利用しているのだろう 大勢の人々が改札口から散らばっていく 俺も今日からこの街に通う だいぶ暖かくなってきた4月の風が吹く中 少し急ぎ足で歩き出した
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加