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「えっと、俺たちの家のことなんですが、どこまで知っているんですか? 怪奇現象のことは知っていると思うんですけど……」  遠い席ではメンバーが大量の肉に驚いている。ソースをかけて一口大に肉をきり、一生懸命それを口に運んでいる。その様子があまりにも普通の日常でどこか遠い存在に思えた。 「出たがっている女性がいるとか」 「出たがっている? そんな話は……」  ちょうどその時、料理が運ばれてきてショウは黙った。百合哉にも料理が届いたのだろう。細身のわりには結構な量を頼んでいる。 「はい。爪を立てて、壁を叩き、扉を開けている」 「それだけではわからないじゃないですか? 怒っているとか」 「何か悪いことをしたのでしょうか?」 「特には……」  撮影時には騒いでいるが、基本的にあの家は借りている物で汚損破損は絶対にやらないと決めている。 「ですが、俺たち結構騒いでますし。そういう時に音がなるんです」 「なるほど」  百合哉は一度頷く、肉を口に放り込み頬を緩めた。 「たしかに、実際見ないとわからないですね。予定通りお邪魔させていただきます」 「よろしくお願いします。ですが……。あの、撮影してもいいですか? 一応、俺たち動画投稿者で、この怪奇現象も取り上げているんです」
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