8人が本棚に入れています
本棚に追加
どうでしょう。と意味ありげに答えて百合哉は再度肉を口に含む。
「私、機械と相性が悪いんです。壊れてもいい機械でならば撮影していいですよ」
そう言って、彼は無邪気に微笑んだ。
2
「どうぞ」
「お邪魔します」
大食い企画を無事に終了し一行は家に戻った。その結果は動画で公表されるだろう。部屋に招き入れられた百合哉は周囲を見渡し、何を思ったかしきりにうなずく。
「ここの家は格安だったんです。隣の家が事故物件で」
おずおずとドコロが言う。
「そうなんですか。……ううん、でも今回は関係ないと思いますよ。どこから音がなりますか?」
「和室の方からです。普段、ふすまは閉めているんですが」
そのふすまは今開いている。一人通れそうな、けれど、この体格が良いメンバーでは通れなさそうな具合に少しだけだ。
百合哉は躊躇せずそのふすまを開けた。
中は普通の和室だ。メンバーの私物がそれぞれ置かれているが、いつもなぜか四隅に移動されてしまう。
「物が勝手に移動するんです」
ショウが言うのを聞いて百合哉は頷いた。
「なんとなくわかった気がします。……お話があります。皆さんが落ち着いて話を聞ける場所はありますか?」
最初のコメントを投稿しよう!