伊致寐姑《いちびこ》の花

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「あぁ、あの手にしてるの、エンドウっていう花なんだ」
　全然ピンときていなかった。

「はぁ？　大丈夫？　豆だよ、豆。あんたも好きな奴」
「豆？」
「塩ゆでしたり、卵とじしたりしてるでしょ？　あんた喜んでいつも食べてるじゃない」
　そう言って母は、台から一つカゴを手にして、中身を私に見せた。