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「その少女はフィレンツェ中心街にある
サン・ピエロ大聖堂の正面入り口へと続く
階段に腰掛けて絵を描いているそうだ。
興味が湧かないか?
そうだカルロお前はどうせ毎日暇だろう。
明日二人でその少女を観に行かないか?」
幼い頃に画家になるのが夢だったカルロは
その少女が描く絵画を見てみたくなった。
キリスト教会の権威が強かった当時
汚らわしい屍の絵を描く画家など
滅多にいなかったのだ。
物珍しさと恐いもの見たさに
ミゲルの提案を承諾したカルロは
頷きながらチェス盤上にある
ナイトの駒を移動させて
チェックメイトを宣言する。
ミゲルは苦々しい顔をしながら言った。
「明日の朝いつもの時間にお前の家へ
迎えに行くから待っていろよ」
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