才能

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才能

俺と《お前》は各々違う輝きを持ってる。お前のは夜天をピシリと跳ね舞う魚群の銀鱗、月明りに映える煌めきだ。其れが俺にとっては堪らなく眩しく映る。精々俺は其の魚達を捕る舟の水尾の光だからだ。きっと、否、だからこそ。俺は《お前》を羨むでも無く、祝福するのだろうな。 僕と《君》は各々違うきらきらを持っている。君は地平線が藍に消える瞬間、黄金が貫く煌めきだ。其れが僕にとっては堪らなく強く映る。何故かって、精々僕は忍び寄る暗闇の点光だから。けど、きっと。否、だからこそ。僕は《君》を羨む訳でも無く、唯、祝福するのだろうね。
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