不安

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不安

天鵞絨の布袋に蒐めた輝く欠片達を卓の上にばら撒く。カツン、コツン。或いは此の世では聴けぬ音色を奏で、落ちるきらきら。大分少なくなっちゃったなぁ。僕は君の真似をして唇にきらきらを押し付ける。金平糖が壜から無くなった様に。きらきらもいつかは無くなってしまうのかな。 何不貞腐れているんだ、お前は。欠片が無くなる訳ないだろ。また俺と蒐めに行くのだから。呆れ半分に君が云う。無器用乍ら僕に投げかける言の葉が、木洩れ日みたいにきらきらする。そうだね、そうだった。ねぇ、今度は何処の鉱脈を狙う?算段はつけてあるぜ。僕達は。俺達は。ずっと。 e710d9f6-473b-4209-8f9c-c2b99ca59a89
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