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御伽噺つづく
此処らで腹拵えするか。
君は松明代わりの洋燈を地面に置き、胡座をかく。可燃性が高いきらきらを天鵞絨の袋から選び取り、洋燈の炎を移す。星屑の火花が散った。
お前、鶏卵と腸詰肉、何方が良い?因みに俺は腸詰肉な。
ぢゃあ僕は最初っから鶏卵じゃないか。
魔法使いの心臓の様に燃えるきらきらに、麺麭と腸詰肉を当て炙る。鶏卵は鍋底にバタを溶かして焼いた。
じゅうじゅう。
腸詰肉から肉汁が滴る。君は手際良く焼けた麺麭に鶏卵を挟み、とっときの塩漬した魚卵と香草をたっぷりとかけてくれた。
湯気がふわりと涎を誘う。
僕が待ちきれなくって、がぶりと麺麭に食い付くと、ぷつっと黄身が蕩け出す。
魚卵の塩っぱさと鶏卵の円やかさ、香草の爽やかさがお腹を空かせた僕には堪らない。美味しい。
お前、がっつき過ぎ。
笑いながら君は、辛い腸詰肉を挟んだ麺麭を頬張る。
俺、天才だよな。
うん、天才過ぎ。
君はドロリと溶かしたチーズを、辛い腸詰肉に山程かけて、ばくりと噛み付く。
今夜はきらきら、食べないんだね。
此方のが腹持ちがいーんだよ、味が濃いしな、すっきり明確だ。
ねぇ、次は何処に行こうか?
そう云う事はお口をもぐもぐさせ乍ら云う事じゃねぇな。
ふふ、違いないね。
だろ?
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