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獣人が住む世界『イシュメニア』
その広間はそれ を囲み困惑と重い沈黙がみちていた
「これは一体…」
栗毛に白い毛が多く混ざりはじめた毛並みの獣は老人の声で絞り出すように呟き
「グゥゥウウウ」この場で一番着飾った黒の獣は喉を震わせ唸り声を出し
「ど、どうゆうことでしょう?」
灰色の獣は戸惑いの声をあげ黒い獣を伺うように見る
「グォォォオ!!」 黒い獣は更に大きく唸り、もはや咆哮のようである
「なんたる侮辱」
赤茶色の獣は怒りのあまり体を震わせ尾を床に何度も打ちつける
「儀式を続けろ」黒い獣は低く冷たい声で命じる
「で、で、でも、あの…死にかけてますが?!」灰色の獣が言うも
「見ればわかるッッツ」黒い獣は一喝した
怒りのため目の前は赤く染まり本能のまま四つ足に転じる。
着ていた衣服は床に落ちたが気にすることなくそれ に近寄り
血を舐めとる
(期待はしていなかったがコレは想定外。文献のとおり極上の味は気に入ったが、くたばるなら式が終わってからにしてくれ)と身勝手なことを思っていると
それ と目が合った気がしたが今なおピクリとも動かないことから見間違いだと結論づける。
祭祀である赤茶色の獣も事切れる前にと強引に式の祝詞をあげ此方に合図をよこす
儀式に従いそれを犯し、尻からこぼれる白濁を祭祀に確認させて式は終了したはずなのだが、誰もその場から離れることができなかった
否、それから目を離せなかった。
骨と皮だけの痩せ細った体は程よく肉がつき青い血管が浮き出た頭部は黒い髪の毛が覆うと同時に白髪をも黒く変化し、しわくちゃの骨ばった横顔も肉がつきしわがなくなれば別人のように様変わりをしたのだった
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