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『花嫁とは最高の祝福である』
遥かむかし人間が多く存在したころ。人間は俺たちだけがもつ癒しの力を求めて狩りたて、俺たちの先祖は辺境の地へと追いやられた。
しかし人間たちは無差別に狩りをした結果、他種族の獣人たちの怒りをかい逆に狩られる側になったのだという。
個体数の激減した辺境の地の獣人たちは花嫁召喚に望みをかけたのだという。
―花嫁召喚はじまりの書より抜粋 ―
召喚により猫獣人のかわいらしい伴侶を迎えた兄は、とても嬉しそうだった。
この召喚儀式は適齢期を迎えたオスが受けるものだ。
ただし、召喚しても相手が現れないこともある。
呼び出すオスに問題があり、心の底から伴侶を求める気持ちがないと召喚は失敗するのであった。
自分だけの花嫁というものに強く惹かれた。
と言うのも兄や弟は自分の大切なものをよく奪った。
弱肉強食があたり前なので別に珍しい話ではないのだが
「弱いから奪われる。守りたければ強くなれ」と常に言われた。
この兄弟のなかで幼い黒い獣は苦労が重なり性格がひねくれてしまったのは、しょうがないのかもしれない。
そうして待ち望んだ自分の花嫁召喚の日を迎え…
前代未聞の『人間』の花嫁を手にいれることとなったのだった。
多くの獣人は『人間』を見ることもなく死んでいく。
この世界で人間は絶滅危惧種であり、本にしか登場しない生態の分からない生き物でしかなかった。
花嫁召喚で『人間』が呼び出されたという記録も残っていないのだった―-…
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