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俺が『人間』について知っているのは、献文にのこされてた (うそ)か本当か分からにような『人間』の血は美味(おい)しいというものだった。 俺が読んだこの本を他の獣人が読んでないことを(いの)る。 まぁ、内容が難しいあの本を読む物好(ものず)きは少ないだろうが、俺の花嫁を(ねら)うなら死なない程度に相手をするつもりだ。 その花嫁は俺の(となり)でいろんな獣人たちに祝福(しゅくふく)挨拶(あいさつ)をされている。 ほとんどの召喚された花嫁は呼び出したオスを()けて()げだすのだが、こんなに早く受け入れた花嫁など聞いたことがない。 俺の予想は良い意味で裏切(うらぎ)られてばがりいる。 儀式の手順では召喚した日に花嫁は家族や仲間(なかま)たちに挨拶するはずだった……けれど死にかけてたコイツは体を回復してからとなったのだ。 俺のもつ治癒(ちゆ)の力は一族(いちぞく)のなかで一番強いのだが、 それだけで人間が若返るとは思えないし、やはり召喚儀式が関係しているのか この人間がもつ体質か…? 傷口を舐めて治し、儀式を終わらせると老人だった姿が青年になっているのだった。 この世界には体を変化させる『変化人(へんかびと)』と呼ばれ生き物が存在(そんざい)している。彼もその1人なのかもしれない。
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