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「んあ―!!疲れた!!」
挨拶を終えた青年は両手を上にあげて叫んだ。
そして俺を見ると青年は自分の足の太ももあたりを叩いて合図するのだった。
俺は、ため息をはき体を四つ足にかえて彼の膝に前足を乗せるような姿勢をとる。
これは青年との約束で仲間への挨拶が終わるまで『よい嫁』を演じる代わりに四つ足の姿で彼に好きなだけ撫でさせるというものだった。
青年は俺の四つ足のときに撫でるのが好きである。
なぜか2足歩行のときは避けはしないが、距離をとって撫でようともしない。
膝に乗せた前足のあいだに顔を伏せて彼に身をまかせれば、心地のよい優しい手が耳の間や背中に触れている。俺はそれを目を細めて甘受して、しだいに眠るのであった。
俺の嫁は少々変わった趣味をもっている。
了
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