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それでもわっちが無視していると禿の千鳥が慌てて口を開きんした。
「律さま、今は『初回』でありんす。しきたりでありんすから」
「初回? なんだそりゃ」
かなり酒で酔っているのかあまり呂律が回っていんせん。『初回』も知らないとは、とわっちは内心呆れんした。
「ここ、吉原でもうちのような店では花魁と同衾するには『初回』、『裏』、『馴染み』と三回会わなければなりんせん」
ふーん、と律は酒を口に運ぶ。
「だからあと二回は来ていただかないと」
千鳥は空いた器に酒を注ぎんす。
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