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「藤風花魁。律さまはこんなにいいお人だ。なあ、もういいだろう?」
「でも、まだ『裏』でありんす」
わっちらの会話に気づいた律さまは片手を上げて制しんした。
「ああ、僕は花魁を買いに来た訳じゃないんです」
静まり返る座敷。皆一様に、は? との心の声。けれど律さまは頬を掻くだけで答えんせん。
「それじゃあ、何をしに此処へ?」
思い切った若い衆が訪ねると律さまは笑顔で口を開きんした。
「江戸の料理を食べてみたくてね。あと旨い酒と。そこに江戸で有名な天下の『花魁』が居ればそれだけで」
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