花屋でぼくは、青いユリと出会う

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「ぼくはやっぱり最低だ……」  言い飽きた言葉がつい口から出てしまう。うずくまってしまったぼくに、心配したのかユリが声をかける。 「どうしたのかね。確かに君は昼間っから花屋で迷子になっているろくでなしだが、君にも良いところはあるよ。多分」 「……フォローになってないよ。それに、なんでもないから。大丈夫だから」  大丈夫なもんか。そんなわけないだろ。そう心で付け足す。ユリは肩をすくめる。 「私にウソはいけないね。ちゃんと話してごらん」  ユリが強情なのはさきほどまでの会話で分かっていた。たぶん黙っていても教えるまで聞いてくるだろう。面倒だが、自分でも気持ちの整理がしたい。ぼくは自分の思いを少しずつ拾っていく。 「……ただ、ユリよりも下だって事実に気づいちゃっただけだ。ほっといてくれ」 「君は出会った時から自虐が激しいもんねえ。私もなんて言い返せば良いのか分からないからスルーしていたけどね」  花にまで気を使われていた。もう、嫌になる。涙も考えもぼくの許容をこえて、あふれてきた。 「……じつはぼく、もういっそのこと、おまえみたいな花になってしまいたいと思っていたんだ。そうすれば人付き合いも無くなるし、何も考えなくてすむって。そう信じてた。なのに花であるユリは色々と思考を重ねて、自ら生まれてきた意味を見出そうとしている。正直すごく立派に見えた。もうぼくは情けなくて生きていけないよ。いや、生きていきたくなんてないんだ」  わっと溢れ出した言葉。とても早口になってしまった。きっとユリも聞き取れなかったんだろう。ユリは黙ったまま動かない。でも、表情がないというのは案外いいものだと思う。面倒そうな表情で優しい言葉をかけられるのは、ごめんだ。  ぼくがそう一人でほくそ笑んでいるとユリは突然大声を荒げた。 「そうだ! 君の場合「迷子」はどうだろう!」 「ビックリした……って何の話だ?」 「分かっているだろう。「迷子」それが君の人間言葉の候補だよ」 「迷子って……確かにぼくは今ここでなってるけどさ……」 「それだけじゃないよ」  ユリは困惑気味のぼくに優しく問いかける。
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